かって気ままに ・・・

還暦を過ぎたITエンジニアの独り言。

かって気ままに

品性(ひんせい)

ピーター・ドラッカーは「現代の経営」の中で、次のように述べています。

経営者がなさねばならない事は学ぶ事が出来る。しかし経営者が学べないがどうしても身につけていなければならない資質は天才的才能ではなく、その人の品性だ

管理・運営のテクニックは、教える事ができるが、品性は教える事が難しいと書いている。

「品性」とか「品位」あるいは「上品」といった言葉は、日常生活でもよく使われるが具体的なイメージとしてはなかなか描き出しにくい概念です。

辞書を調べても「道徳的基準から見た、その人の性質」と中々理解できない・・。
私は、「品性がない人」の一例を挙げると次のタイプだと思っている。

①目上の人には諂(へつら)い、目下の人に傲慢(ごうまん)な態度をとる。
②相手の立場や能力を認めようとせず「思いやり」に欠ける。
③度を越した金銭欲、物欲、権力欲、支配欲、性欲・・とそれに対する自制心がない。
④自分自身の確固たる価値観すなわちアイデンティティがなく、目先の利害だけを追求する。

品性を身につけることは、決して容易なことではないが、ある程度までは誰でも、心構え次第で身につけることは可能であると考えている。

そして、個々人がほんの少しずつでも自分の品性を高めることができたなら、会社生活やプロジェクト推進においても快適さが高まると思っている。

真に優秀な人には品性がある。リーダーは、確たる信念を持ち、自分を信じ、常に周りに気遣いや思いやりを向けられるような「品性」を身に付けていただきたい。

部下を伸ばすコーチング

部下とのコミュニケーションは、難しい・・・。それは、課長の一言で、部下を生かすも殺すもできるからだ。

ケース1
(部下):課長、例の商談の件で相談があるんですが・・
(課長):ああ、あの件は大事なお客さんなんだ、ちゃんとやっているだろうな。
(部下):まあまあ順調なんですが、肝心のA部長が乗り気じゃなくって・・
(課長):なに~、A部長はキーマンなんだぞ、今まで君は何をしてたんだ・・
(部下):済みません・・・いろいろと努力はしたんですか・・・
(課長):努力したって?努力したならそんなことにならないだろう!!
(部下):・・・
(課長):話にならない・・、俺が直接、A部長に会って交渉するから・・
もう、君はいいよ・・

ケース2
(部下):課長、例の商談の件で相談があるんですが・・
(課長):ああ、あの件ね、どうかしたかね???
(部下):順調に進んでいるんですが、A部長が乗り気じゃないようで心配なんです。
(課長):どうして、A部長は乗り気じゃないと君は思うの・・
(部下):部下のBさんがそのようなことをちょっと言っていたものですから
(課長):じゃ、君はどうしたら良いと考えているのかね・・・
(部下):一度、A部長にお目にかかって直接ご意見を伺ってみたいと考えています。
(課長):じゃ、一緒に会いに行ってみるか・・
(部下):ありがとうございます。

質問が肯定的・未来型だと部下をプラス志向に変化させ可能性を引き出す。
質問の質が相手の「人間力」を引き出し、共鳴し、「わくわく」感を生み出し相手を動かす。

同じ事がプロジェクトフォローの場面でも言える。

過去の質問ばかりすれば、メンバーは過去に生きるようになる。またリスク回避の質問ばかりすれば、失敗を恐れるだけになる。
リーダーやPMOの「問い」は、できるだけ未来に対して、いかに見通すか・・、いかに行動するか・・ という視点ですべきと思う。

心のつぶやきを、声に出してみる..

組織の中でいろいろな人を見ていると、中には、相手が不機嫌にならないようにじっと息をひそめ、相手の気に入るように行動する人がいる。なるべく自分の意見を述べずに、自己主張せずに相手や周囲の人に同調する ・・。

これは、子供時代に問題がある場合が多く、機能不全の家庭や「いじめ」などの環境に対し、自分で自分の身を守る手段なのである。

「ね! あなたもそう思うでしょう!」と云われても、「私は、そう思ってはいない」と云えないのである。

私たちは、生きている限り対人関係を、避けて通ることはできない。性格や育った環境が違うので 当然それぞれの意見も違ってくる ・・。

思い込みやコミュニケーション不足のために、互いに不快な思いをしてしまうよりは、 あなたはあなた ・・、 私は私 ・・、 同じでなくてもいいんだ ・・。 思ったこと、感じたことを、そのままつぶやいてみたらどうだろう。

勇気を持って、『心の中のつぶやき』を、声に出してみよう!

思いがけない展開があるかもしれない ・・。

時間

本社に戻ってまもなく一ヶ月が経とうとしている。

2006年4月、単身赴任で福岡へ転勤してから4年。がむしゃらに見えない壁に体当たりしていた九州時代・・。『何か変だぞ?』と感じながら、悶々とした日々を送っていた大阪時代・・。そして、時間の流れを肌で感じることができた四国時代。今思えば、懐かしい日々である。

昔、先輩から云われた言葉を思い出した。

時間には、「何かのために使う時間」と「時間を使うことが目的の時間」があると・・。

「何かのために使う時間」には、「受注するため」、「受注したシステムを完成させるため」、「納めたシステムが順調に稼働するため」などに使う時間であり、目的が明確であり、その目的を達成するために使う時間である。

「時間を使うことが目的の時間」の例には、「一家団欒(だんらん)」、「恋人と一晩過ごす」、「好きなメンバーと(一人でもよい)好きなことをする」等がある。

我々は、「何かのために使う時間」は「できるだけ効率よく、生産性を上げて、少ない時間で目的を達成する」ように日々工夫をすることであり、「時間を使うことが目的の時間」を出来るだけ多くとるようにすることが、優雅な生活であり、未来に向けて生きている楽しみになるのではないだろうか・・?

スリッパの法則

これは投資ファンド(Goldman Sachs Asset Management)に勤務した経験を持つプロの投資家が、「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方を書いた本のタイトルである。

投資しても儲かる会社と儲からない会社の「違い」や「兆し」には、一定の法則があるという。例えば、社長に関しては次のような法則があると書かれている。

 ・自分の過去の苦労話にインタビューの大半をさく社長の将来性は乏しい
 ・人の話をきかない社長には投資しない
 ・業績不振の要因を景気や政治のせいにする社長の会社は、景気が回復しても業績は回復しない
 ・平凡な社長は総論を話し、優秀な経営者は各論も話す
 ・大成功している経営者は例外なく細かい

また、注意が必要な会社には次の法則があるという。

 ・社内では、スリッパに履き替える会社に投資すると、不思議に儲からない
 ・社員に体操を強制する会社は儲からない
 ・相談役のいる会社は成長性が少ない
 ・会議室の時計が五分以上狂っている会社に投資をすべきではない

この本では、67の法則が紹介されており、投資の判断だけでなく、一般のビジネスマンにとっても、会社の成長性を見極めるモノサシとして活用できると思う。

我々は、人と付き合う場合も、相手の「身なり」や「しぐさ」等をチェックしている。また「話し方」や「話の内容」によって人となりというのはわかるものである。

細かい観察の目を養い、法則を見つけ出すのも楽しいことかも知れない・・。

忘れられない・・・

見せつけの様な人事で転勤し、自暴自棄になっていた頃、昔の上司(社長)が自身のブログを通して励ましてくれました。(感謝!)

現役時代を振り返ると、この社長のときが一番大きな事をなしえた様に思えます。

https://blogs.yahoo.co.jp/yo415301/57735885.html

アリの真実

これは、京都大学名誉教授で動物行動学者の「日高 敏隆」氏の有名な話である。
日高さんは、ヨーロッパで動物行動学が興るのと同じ時期にこの分野に飛び込んだ草分け期の研究者であり、日本に動物行動学を最初に紹介した研究者の一人でもある。

今日は、日高さんの本の中からリーダーについて示唆する部分を抜粋し考えてみたい。

アリは働き者だといわれているが、よく観察すると、その内の20%は確かに働いているが、80%はただウロウロとしているだけだそうだ。

では、働きアリばかりを集める。大精鋭集団になるだろうと思っていると、ちゃんとその内の80%が怠けだした。また怠けたアリだけを集めて、これは怠け者集団だからしょうがないなと思っていると、その内の20%が働きだしたという。

つまりアリ一匹ずつの問題ではない。このアリは働きアリ、これは怠けアリということではなく、周りとの係わり合いで、働きアリになったり、怠けアリになったりする。

人間も同様で、この人は働き者とか怠け者とか簡単に言い切れないと思う。そして、周りとの係わり合いで、働き者になったり怠け者になったりするのではないか・・

周りとの係わり合いとは、絞っていえばリーダーとの係わり合いである。組織の中で部下を後ろ向きにしてしまう最大の阻害要因は、リーダーの「人音痴」ではないか?。人間がわからない人がリーダーになると、必ず人は死んでしまいます。

すべてはリーダーから始まる。リーダーは、自分から始まる。「どんな私だったら、人は私と働くことを喜ぶか・・」ということを自分に問い続ける。これがリーダーの最も大切なことではないだろうかと思う。

私は、日頃から企業の中で「人の生かし方」について非常に疑問に思っている。簡単にいうと、数値やグラフで比較して昇進昇格、あるいは左遷という脅かしで人を生かそうとする。

以前、「人は力で動かすものではなく、心で動かすもの・・」という記事を書いた。リーダーのみなさんに問いたい。みなさんの部下は、毎日どのような気持ちで会社に来ているか・・

みなさんの職場は、「朝、会社に出て行くのは楽しい!」と思うものになっていますか?

では、それはどんな職場か。一言でいえば、「わかってくれる上司」がいる。これに尽きるのではないだろうか・・。